中央図書館を一新する動きがある

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 ショボくて(狭い、本が少ない、機能が貧弱)ボロい(築42年、耐震性が不十分)、西東京市の中央図書館(写真上)。

 お隣の武蔵野市にある「武蔵野プレイス」のように、居心地がよくて、子どもも大人も本に親しみやすい図書館が、西東京市にもあったらなあ――。 

 そう思っていたら、西東京市の中央図書館をめぐって、移転や建て替えの話があることがわかりました。

 どんな話が進んでいるんでしょうか。探ってみました。

 

中央図書館と市民会館、公民館を一緒にする

 新しい中央図書館に関して、決まっていることはまだ何もありません。場所、広さ、蔵書規模、閲覧席数、オープン時期、カフェの有無……など、すべて未定です。

 ただ、場所と基本構造の案は出ています。

 それは、現在の市民会館の敷地に、中央図書館と田無公民館、市民会館が入った施設をつくるというもの。西東京市が2011年11月にまとめた「公共施設の適正配置等に関する基本計画」で、検討を進めると表明しました。

 さらに、15年3月に西東京市がまとめた「庁舎統合方針(案)」でも、中央図書館と田無公民館の機能を市民会館(写真下)へ移転することを想定していると、はっきりと書かれています。

 この構想を市は「3館合築複合化」と呼んでいます。

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「3館合築」に反対の声

 ところがこの「3館合築複合化」構想は、評判がよくありません。

 「拙速」「混乱を招きかねない」――。市議会は2015年9月、そんな厳しい言葉で3館合築構想を批判する決議を可決しました(「時間をかけ慎重に検討することを求める決議」)。

 また、市民たちからも、中央図書館・田無公民館を市民会館の場所に移すことに反対する請願や陳情が、相次いで市議会に出されました。

 市は15年7月、3館合築複合化の「基本プラン」をつくることを目的に「懇談会」を設置したのですが、その会合でも「そもそも3館の合築を市民会館の敷地で行うことは無理がある」「図書館・公民館を駅から遠くに動かすのはよくない」などと、基本プランの前提に疑問を投げかける意見が出席者から噴出しました。

 

問題は場所

 中央図書館の改築をめぐって、大きな問題となっているのが「場所」です。

 西東京市が想定している「現在の市民会館がある場所」(シチズン本社の向かい側。田無駅から徒歩8分)に対して、「駅から遠くて不便だ」という不満や、「田無駅南側に文化施設の空白地帯をつくる」という反発が、市民から出ているのです。

 ちなみに、この市民会館のすぐ南隣では、大規模マンション「パークホームズ田無 ザ ガーデン」(14階建て、170戸)の建設が進んでいます。

 市民会館の敷地への移転に反対する人には、新しい図書館も現在地(市役所田無庁舎の隣。田無駅から徒歩3分)に建設してほしいと望んでいる人が多いようです。

 しかし、市は現在の場所での建て替えには消極的です。この土地を空け、そこに市役所保谷庁舎を移転し、旧田無市と旧保谷市の庁舎統合を大きく前進させたいからです。そうした意向は、前述の「庁舎統合方針(案)」で明らかにしています。

 市庁舎の統合は、2001年に田無市保谷市が合併して西東京市が誕生して以来の、市の宿願なのです。

 

市は「現在も検討中」に後退

 市民や市議会からの反発を受けて、「3館合築複合化」構想はやや腰砕けになっています。

 前述のとおり、2015年3月に西東京市が出した「庁舎統合方針(案)」では「合築複合化による中央図書館・田無公民館機能の移転」を想定しているとはっきりと書いていたのですが、16年12月に公表した「庁舎統合方針」になると、前記の移転構想に関する記述はすっかりなくなりました。そして、合築複合化については「現在も検討を続けています」という言い方に後退しているのです。

  とはいえ、西東京市は3館を合築する考えを捨てたわけではなさそうです。

 「公共施設等総合管理計画」(16年9月)では、中央図書館と市民会館、田無公民館の「合築複合化の検討を進めます」と明記しています(ただ、合築の場所には触れていません)。

 

「2館合築」構想も浮上

  一方で、西東京市は「2館合築」も選択肢とする考えを明らかにしています。2館合築とは、中央図書館と市民会館の入った一つの建物をつくることです。

 丸山浩一市長は2016年12月、市議会で次のように言っています。

 「中央図書館の十分な機能拡充を図るためには、3館合築複合化とあわせ、市民会館と中央図書館を複合化し、田無公民館を存置する方策も選択肢として検討する必要があると考えております」(16年第4回定例会)

 これは、現在の市民会館の場所で3館合築をすると、中央図書館に割けるスペースがどうしても限られてしまい、図書館機能の充実を図るのが難しくなる、だから3館ではなく2館にして、中央図書館に十分な場所を確保したほうがいい、という意味かもしれません。

 

新たな中央図書館はいつできる?

 このように、新しい中央図書館のかたちはなかなか見えてきません。

 では、開館時期はどうでしょう。「未定」とはいえ、目標や目安くらいはあるんでしょうか。

 西東京市「耐震改修促進計画」(2016年3月)で、市内のすべての公共の建物を20年度までに耐震性が十分なものにすると掲げています。

 いまの中央図書館は耐震性が不十分ですから、この計画に従えば、3、4年後までには市はなんらかの対策を取らなくてはなりません。

 ただ、残り時間を考えると、その対策が「新たな中央図書館の建設」であるとは限りません。いまの中央図書館を工事して耐震性を高めたり、一時的に別の建物に移したりして、本格的な改築は先延ばしすることも考えられます。

 もしそうなると、新たな中央図書館のオープンは当分先になります。それがいつになるのかはわかりません。

 

市の内部で「基本プラン」をつくっている

 前述のとおり、西東京市は合築複合化の「検討」を続けているということです。では、どこで、誰がしているのでしょうか。

 市に聞いてみると、「合築複合化基本プラン策定に向け、2016年4月から、市役所の関係部署による検討組織を設置して検討してきた」(文化振興課)とのこと。つまり、市役所内で、市職員たちによる検討が続いているようなのです(17年4月時点)。

 さしあたり、新しい図書館の青写真となるのが、この「合築複合化基本プラン」です。市はこれを16年度にまとめる計画でしたが、もう少し検討が必要ということで、17年内にまとめるつもりです。

 

 まだ要望を反映できるはず

 丸山市長はこの「基本プラン」について2016年12月、市議会で次のように言っています。

 「市民の皆様へのていねいな情報提供と意見聴取は重要であると認識しており、合築複合化基本プラン(案)を取りまとめる前にご意見をうかがう機会を設けるなど、よりていねいな市民参加を実施していきたいと考えております」(16年第4回定例会)

 この言葉が本当なら、「こんな図書館がいい」という市民の要望を伝えることで、その望みが反映された中央図書館がつくられていく可能性はまだあります。要望やアイデアがあるなら、言わなきゃソンです。

 では、誰に、どうやって言えばいいのでしょうか。今後、それを考えてみたいと思います。また、すでに市民から市に出されている意見や要望がありますので、それらも参考に、「いい図書館」を考えていこうと思います。